農業に限った話じゃない。業種問わず、仕事・私事に限らず色々な人に読んでもらいたいと思う。
表紙にある木村さん(著者)の写真を見て 70 過ぎぐらいかなぁと思っていたら、ちょうど 60 だったので驚いた。最近の 60 といえば還暦と言えどうちの父親も含めてまだまだ若い印象があるが木村さんは言葉が悪いがかなり老けて見える。それほどの苦労があったのが伺える。
なぜ無農薬を始めたか。
農薬を減らせば、家族みんなで作業ができる。
消費者はもちろん、それ以上に農家の人が大変なんですね。コストが安く済むのに超した事はない。でもみんなで楽しく働きたい。心優しい人なんだろう。
農薬を一切使わない手法でリンゴを育てはじめ、ようやく畑全面に花が咲いたのがなんと 11 年目。周りの人からは相手にされず、長年実らない状態で精神的にも追い込まれ、自殺の直前まで行ってようやくきっかけを掴んだ。
木村さんのすごいところは結果が出ない状態にも負けない頑固さと、細かい観察と試行錯誤ながら繰り返しの実験・データを通した知識にあると思う。
さらに、どんな過酷な環境や仕事(収入が無いので出稼ぎで様々な仕事をしていた)でも、それを何かに生かそうとする。つらい仕事だけど仕方なくやるというのではなく、その中でも何かヒントがないかと常に探っている前向きというかタフなところに感心する。
自殺直前まで行って打開するきっかけを見つけられたのは、それらの長年の積み重ねがあったからで常人なら素通りするだけだったはず。都度出てくる一手に根拠を持っている事にほんとに驚く。データ収集はかなりしっかりやっている。
通常、夏場の暑いときには土の表面温度は 35 ℃にも上がります。それ以上になることもあります。ところが、草ぼうぼうの畑の土の温度は 10 ℃くらい低いのです。外気温が 35 ℃と発表された日、土の温度は 24 ℃の温度は 24 ℃であったと思います。私はずっとデータを取って来ましたから。
蓄えた知識に関しては
若者が参入するためには、ある程度教育が必要です。実技例が分からないからです。私の栽培技術はそろそろ終着点に近いところまで来ているので、マニュアル化して次の世代に伝えたいと思っています。
と自分に止まらず、韓国やその他外国にまで出かけて講演している。その上
農家の人みんなで知恵を出し合えば、もっといいものができます。私のやっている事が 100% 正しいのではなく、踏み台にしていって欲しいと思います。
まさにプロフェッショナル。
振り返って自分の仕事はどうだろうか?「分からない分からない」で人のせいにしてたりしないだろうか?発言に根拠があるだろうか?自信を持ってアウトプットを出せているだろうか?日々改善に取り組んでいるだろうか?自問自答を繰り返すほどにまだまだ甘いことを痛感する。